「ちょっと数字を確認してみよう」──英語でどう言う?
ビジネスでも日常でもよく耳にする “run the numbers” の意味を、由来から実際の使い方までじっくり解説します。
この記事を読むと
- “run the numbers” の意味とニュアンスの違いが理解できる
- 日常会話・ビジネス・ITの各場面での自然な使い方を身につけられる
- 言葉の由来や文化的背景を知り、英語表現をより深く味わえる
- チャンクとして覚え、実際に自分の英語に取り入れるヒントが得られる
「数字を動かす」感覚と、英語の裏にある文化的背景が見えてきます。
目次
- “run the numbers” とは?
- 日常会話での使い方
- コーヒーで “run the numbers”:Bialetti Moka Express
- ビジネスシーンでの使い方
- IT・データ分析での使い方
- 言葉の由来と歴史
- 類似表現との違い
- チャンクで覚える表現
- 例文を作ってみよう
- まとめ
1. “run the numbers” とは?
直訳すると「数字を走らせる」ですが、意味は「計算する」「数字を確認する」「採算を検討する」といったニュアンスです。
すでにあるデータや条件をもとに、「一度計算してみよう」「見積もってみよう」といった軽いトーンで使われます。
Let’s run the numbers and see if this plan works.
(この計画がうまくいくか、ちょっと数字を見てみよう。)
2. 日常会話での “run the numbers” の使い方
A: Do you think we can afford this trip?(この旅行、私たちの予算で行けると思う?)
B: Let me run the numbers first.(まず計算してみよう。)
買い物、旅行、カフェの費用など、ちょっとした計算に使える便利な表現です。
“run the numbers” は “calculate” よりもカジュアルで、「とりあえずざっと試算してみる」という軽いトーンが特徴です。
I’m thinking of buying a new bike, but I need to run the numbers first.
(新しい自転車を買おうか迷ってるけど、まずは数字を見てみないとね。)
3. コーヒーで “run the numbers”:Bialetti Moka Express
カフェに行かなくても、“run the numbers” の時間は家にある。
私の朝は、Bialetti Moka Express(ビアレッティ モカエキスプレス) で始まる。
湯量・豆の量・火加減を微調整しながら、最初の一滴が落ちるのを待つ。
その過程は、まるで方程式を解くような静かな集中の時間だ。
Every morning, I literally run the numbers —
15g of coffee, 90ml of water, and 3 minutes of patience.
(毎朝、文字通り “run the numbers”。コーヒー豆15g、水90ml、そして3分の忍耐。)
小さな金属のボディの中で、圧力と温度、数字と香りがせめぎ合う。
少し湯を減らすと味が引き締まり、火を強めると苦みが増す。
ほんの数秒の差が、味をまるで別物に変えてしまうから面白い。
数字と感覚のあいだを行き来しながら、「このぐらいでいいかな」と思える“ちょうどいい答え”を探す——
それは英語学習でもビジネスでも同じことかもしれない。

“Run the numbers, tweak the heat, fine-tune the flavor — that’s my kind of morning.”
(数字を動かし、火を調整し、味を微調整する——それが私の朝。)
4. ビジネスシーンでの “run the numbers”
ビジネスでは、もう少し真剣なトーンで使われます。
「決定の前に採算を確認する」「費用対効果を検討する」など、
“run the numbers” は「判断する前に現実をチェックする」合図です。
Before we make a decision, we need to run the numbers.
(決定する前に、数字を精査する必要があります。)
提案書、見積もり、プロジェクト立案など、英語圏のビジネス現場では非常に一般的なフレーズです。
5. IT・データ分析での “run the numbers”
ITやデータサイエンスの世界では、“run the numbers” が「スクリプトやアルゴリズムを実行して結果を確認する」意味で使われます。
We ran the numbers on the new algorithm, and it improved accuracy by 12%.
(新しいアルゴリズムを走らせたら、精度が12%上がった。)
“run” には「プログラムを走らせる」意味もあるため、
技術者やアナリストにとっても自然な表現です。
6. 言葉の由来と歴史
“run the numbers” の背景をたどると、アメリカのビジネス文化とテクノロジーの発展が見えてきます。
このフレーズは単なる「計算する」という意味を超え、「現実を動かす」感覚を含んでいるのです。
● “run” の進化
“run” は古英語 rinnan(走る)から派生し、中世には「液体が流れる」「時間が進む」「機械が動く」などの意味へ拡張しました。
産業革命期には “run a machine(機械を動かす)” が定着し、やがて “run a business(事業を動かす)” のように、抽象的な「運営」や「実行」を表す動詞として広く使われるようになります。
この“動かす”という発想が、“run the numbers” のコアでもあります。
● 数字を「走らせる」文化の誕生
1950年代のアメリカでは、ビジネスマンや金融業界で計算機を使う習慣が急速に広がりました。
当時の表現 “run the numbers through the machine” (計算機に数字を通す)から短縮され、
“run the numbers” が「計算してみる」「試算する」を意味するようになります。
一方で、1930年代のスラング “number running” は、違法な数字くじの運営を指していました。
この語感もわずかに影響し、「数字を扱う」「結果を探る」という意味が定着したとも言われます。
● 現代の意味
コンピューターの普及により、“run” は「プログラムを実行する」意味を得ました。
そこから “run the numbers” は、「数字を入力して計算・分析し、現実的な判断を下す」現代的な表現へと進化。
ビジネスでは冷静な判断を、ITでは検証プロセスを、日常では「一度試してみる」柔らかい姿勢を示すフレーズになりました。
7. 類似表現との違い
- calculate:純粋に数学的な計算をする。フォーマルで論理的な印象。
- crunch the numbers:大量のデータを処理・分析する。ビジネスや分析職でよく使用。
- figure out:原因や答えを導き出す。思考・解決に焦点を当てた表現。
- run the numbers:ざっくり試算する・数字を動かして判断する。柔らかく現実的なトーン。
8. チャンクで覚える “run the numbers”
- run the numbers on A(Aの数字を検討する)
- let’s run the numbers(数字を見てみよう)
- after running the numbers(計算してみた結果)
9. 例文を作ってみよう
あなたの生活や仕事で「ちょっと数字を確認したい場面」を英語で表してみましょう。
例:
「カフェ開業の費用をざっと計算してみよう」→
Let’s run the numbers for opening our café.
日常での例
I’ll run the numbers before buying that new espresso machine.
(新しいエスプレッソマシンを買う前に、ちょっと計算してみよう。)
ビジネスでの例
Our manager asked us to run the numbers on the next quarter’s budget.
(上司に次の四半期の予算を試算するよう頼まれた。)
ITでの例
After running the numbers on the data, we found a pattern in user behavior.
(データを処理してみたら、ユーザー行動のパターンが見つかった。)
10. まとめ
- “run the numbers” は「数字を動かして確認する」=計算・検討するという意味。
- 日常・ビジネス・ITのどの場面でも使える。
- 語源は1950年代アメリカ、計算機文化の発展から。
- 感情ではなくデータで判断する姿勢を象徴する表現。
Don’t be afraid of numbers — run them, and let them tell your story.
(数字を恐れず、動かしてみよう。きっとあなたのストーリーを語ってくれるはず。)













