2025〜2026年のトレンドワードを英語で深掘り
まず、この単語に出会ったとき何を感じた?
“Third places”──直訳すると「第三の場所」
なんとなく意味はわかる気がするけど、なぜ今これが英語圏でこれほど話題になっているのか、すぐにはピンとこないかもしれない。でも調べてみると、この言葉の裏には、現代人が抱える孤独・リモートワーク・スマホ疲れ・コミュニティの崩壊…といった、めちゃくちゃ今っぽい問題がぎっしり詰まっていた。
今回はこのトレンドワードを、英語表現・背景・日本との比較という三つの視点から分解していこうと思います。
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“Third places” とは何か?──定義
この概念を最初に言葉にしたのは、アメリカの社会学者 Ray Oldenburg(レイ・オルデンバーグ)。1989年の著書 The Great Good Place(邦題:『サードプレイス』)の中で、こう定義されています。
First place(第一の場所) = Home(家)
Second place(第二の場所) = Work(職場)
Third place(第三の場所) = それ以外の、人が自由に集まれる場所
カフェ、図書館、公園、バー、教会、コミュニティセンター。誰でも来られて、階層がなく、会話が生まれる場所。オルデンバーグはこれが「コミュニティの錨(いかり)」になると言った。
この言葉自体は30年以上前のものだが、2024〜2026年にかけて急激に再注目されている。New York Timesによると、”third places” という表現は1年間で学術・ビジネス誌に2,500回以上登場したという。
なぜ”今”これがトレンドなのか?──4つの背景
1. リモートワークが「居場所」を壊した
コロナ禍以降、多くの人が自宅で働くようになった。オフィスという「第二の場所」が消え、家と仕事が同じ空間に溶け込んだ結果、息抜きできる「第三の場所」の価値が急上昇した。
ハイブリッドワークが定着した今も、「家でもない、オフィスでもない、でも集中できる・人とつながれる場所」への需要はむしろ高まっている。
2. Gen Z(Z世代)が「リアルな体験」を求め始めた
デジタルネイティブのはずのZ世代が、「スマホ・SNS疲れ」から脱却してリアルな場を求めるという逆説が起きている。
ビジネストレンドサイト WGSNの “Future Consumer 2026” レポートによれば、若者たちは「ダムフォン(スマートフォンではなくガラケー的なシンプルな携帯)」への回帰や、カフェ文化・ヨガ教室・フィットネスハブといったリアルなコミュニティ体験を強く求めている。
IRL(In Real Life:現実の場) での繋がりが、今や最もクールな選択肢になっている。
3. 孤独がパンデミック級の社会問題になった
アメリカでは「孤独の蔓延(loneliness epidemic)」が公衆衛生上の問題として認定されるほど深刻化している。サードプレイスの消滅がそれを加速させているという指摘も多い。
リモートワーク・車社会・商業施設のEC移行・公共スペースへの投資不足……これらが複合的に「偶然の出会いの場」を奪っていった。
4. ビジネスがこの概念に目をつけた
小売業・飲食業・不動産業が「ただ物を売る場所」から**「人が集まりたくなる第三の場所」へ**の転換を急いでいる。
- コンビニエンスストアがカフェ機能を強化し「サードプレイス化」
- Capital One銀行がカフェスタイルの店舗を展開
- ショッピングモールがエンタメ・コワーキング・コミュニティイベントの拠点に変化
2024年が「ポップアップストアの年」なら、2025〜2026年は「サードプレイスの年」とも言われている。
英語として「どう使われているか」
英語学習者として注目したいのは、この言葉がどんな文脈で、どんな形で使われているかだ。
よく見る使われ方:
- “Libraries are becoming the last true third places.”(図書館は最後の真のサードプレイスになりつつある)
- “Brands are investing in third places to build community.”(ブランドはコミュニティ構築のためにサードプレイスに投資している)
- “Gen Z is driving the demand for IRL third places.”(Z世代がリアルなサードプレイスへの需要を牽引している)
- “The decline of third places is fueling the loneliness epidemic.”(サードプレイスの衰退が孤独の蔓延を助長している)
セットで覚えたいフレーズ:
| 英語 | 意味 |
|---|---|
| third place / third space | 第三の場所(placeとspaceは混用されることも多い) |
| IRL (In Real Life) | 現実の場・リアルな体験 |
| sense of belonging | 帰属意識・居場所感 |
| community anchor | コミュニティの錨(拠り所となる場所) |
| social isolation / loneliness epidemic | 社会的孤立 / 孤独の蔓延 |
| experiential destination | 体験型の目的地 |
“Third place” と “third space” は基本的に同じ意味で使われるが、最近はより広い文脈(職場設計・都市計画・ブランド戦略)では “third space” という表現が増えている印象だ。
日本と比べるとどう見える?
実は、日本には昔からサードプレイスに相当する文化が根付いていました。
日本のサードプレイス
- 銭湯・温泉 ── 裸のつきあいという言葉が示すように、階層を超えた交流の場
- 居酒屋 ── 「とりあえずビール」で誰もが打ち解ける場
- コンビニ ── 世界唯一レベルの「第三の場所」機能を持つ便利さ
- 商店街 ── かつては地域コミュニティの中心だった
ただ近年、日本でもこれらが失われつつある。銭湯の廃業、商店街のシャッター化、コンビニの完全セルフ化……。「どこへ行っても一人」という感覚は、日本でも確実に広がっている。
一方で、日本発のサードプレイス的な空間が海外でも注目されている。ブックカフェ、静かなコワーキングスペース、道の駅といった「ゆるくつながれる場所」の設計は、むしろ日本が先進的な部分もある。
また、スターバックスが「サードプレイス」という概念を自社のブランド戦略に明示的に取り入れて成功したのは有名な話だが、日本でもそのコンセプトが深く刺さったのは偶然ではないだろう。
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まとめ
“Third places” というワードを知っておくと、英語のニュース・ポッドキャスト・SNSを読む解像度がぐっと上がる。
都市開発の記事、小売業の未来を語る記事、若者の行動変容を分析する記事……どれを読んでも「あ、これがサードプレイスの話か」と気づけるようになる。
そして何より、この概念を知ることで「自分にとってのサードプレイスはどこだろう?」と問い直すきっかけになる。
家でも職場でもない、自分が自然体でいられる場所──それを英語では a place where you belong と言うこともある。
あなたにとっての third place は、どこですか?
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