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【西洋vs日本】白いカツラとちょんまげの歴史|「足し算と引き算」の文化を英語で語る

17〜18世紀ヨーロッパ貴族の「白い巻き髪」と、江戸のちょんまげの意外な関係

学校の音楽室に入ると、必ずこちらを見下ろしてくる人物がいました。 白くて、くるくると巻かれた髪。どこか厳しそうで、少し近寄りがたい雰囲気。

音楽室に並ぶ西洋音楽家の肖像画を初めて見たとき、こんな疑問を持ったことはありませんか?

  • 「あの髪って、地毛なの?」
  • 「どう考えても暑そうだけど大丈夫?」
  • 「なぜみんな同じような髪型?」

実は、あの白い巻き髪の正体はカツラです。 しかも単なる流行やオシャレではなく、当時の社会や生活環境から生まれた、かなり合理的な選択でした。

さらに面白いのは、その発想が日本の江戸時代のちょんまげと、意外なほど共通点を持っていることです。

※本ページにはプロモーションが含まれています

目次

この記事を読むとわかること

  • 17〜18世紀ヨーロッパ貴族がカツラを被っていた理由
  • 白い巻き髪「ペリウィッグ」の正体と役割
  • 同時代の日本で、なぜちょんまげが定着したのか
  • 共通点は「剃る」、違いは「盛るか、見せるか」

あの白い巻き髪の正体は「ペリウィッグ」

17〜18世紀のヨーロッパで流行したカツラには、正式な名前があります。 それがペリウィッグ(Periwig)です。

王侯貴族だけでなく、裁判官や学者、音楽家まで、社会的地位の高い男性たちがこぞって被っていました。

流行のきっかけは「薄毛」だった

この文化が一気に広まった背景には、当時のヨーロッパ宮廷社会における価値観があります。 きっかけを作ったのは、フランス国王ルイ13世や14世だと言われています。彼らが自身の薄毛を隠し、威厳を保つためにカツラを用いたことで、上流階級の間で爆発的に流行しました。

  • 王が被れば、家臣も被る。
  • 被らなければ「無作法」「身だしなみがなっていない」と見なされる。

こうしてカツラは、個人の選択ではなく社会のルールになっていきました。

実はかなり衛生的だった

当時のヨーロッパは、今の感覚で言えば決して清潔な環境ではありません。

  • 毎日お風呂に入る習慣がない
  • ノミやシラミは珍しくない存在

長い地毛は、どうしても害虫の温床になります。 そこで生まれたのが、地毛を剃って、カツラを被るという発想でした。

シラミが湧いたら、カツラを外して丸洗いすればいい。 毎日小麦粉を頭に振りかける生活を想像すると少し笑ってしまいますが、当時としては非常に合理的だったのです。

なぜ白いのか?粉の秘密

ペリウィッグが白いのは、最初から白髪だったわけではありません。 小麦粉やデンプンに香料を混ぜた粉を振りかけて、白く見せていました。

  • 匂い消し(香料の効果)
  • 年長者らしさ、権威の演出

白い髪は「経験豊富」「信頼できる」という印象を与えます。見た目を盛ることで、地位や威厳を強調していたのです。

同時代の日本では「ちょんまげ」が進化していた

同じ17〜18世紀、日本は江戸時代。 武士たちもまた、頭を剃っていました。

剃っていたのは頭頂部、いわゆる月代(さかやき)です。

理由はとても実用的

武士は戦の際に兜(かぶと)をかぶります。 日本は高温多湿なため、兜の中は蒸れやすい。そこで頭頂部を剃ることで、蒸れを防ぎ、快適さを保っていました

ヨーロッパのようにカツラを被って蓋をする、という選択肢は、日本の気候では現実的ではありませんでした。


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【核心】西洋は「足し算」、日本は「引き算」

ここが、この話の一番面白いところです。 スタート地点は同じ頭を剃る衛生や快適さのためでした。 しかし、その後の選択が真逆だったのです。

西洋:足し算の美学

乾燥した気候と、厳格な階級社会。 剃った頭の上にカツラを被り、粉を振り、巻きを足す。 盛ることで権威と地位を表現する。 これが西洋の美学でした。

日本:引き算の美学

湿度が高く、武士道が重んじられる社会。 剃った頭皮を隠さず、青々と見せる。 無駄を削ぎ落とし、潔さや覚悟を示す。 これが日本の美意識です。

同じ「剃る」から始まって、一方は足し算、もう一方は引き算。 環境と価値観の違いが、まったく異なる髪型を生み出しました。

現代でも続く「足し算」と「引き算」の感覚

では、この「足し算の西洋」「引き算の日本」という感覚は、現代にも残っているのでしょうか。 結論から言うと、ビジネスの場面を見ると、この違いは今も比較的はっきり確認できます。

西洋ビジネスに見られる「足し算」の発想

欧米のビジネスシーンでは、立場・役割・権限を外から見て分かる形で示すことが重視される傾向があります。

  • 肩書きや職位を明確に名乗る(CEO / Director など)
  • オフィスの広さや個室の有無で役職が分かる
  • スーツ、バッジなどで役割を可視化する

これらは、情報を足すことで相手に状況を理解させるという考え方です。 17〜18世紀のヨーロッパで、「カツラ・粉・巻き髪」を足して権威を示していた文化と、構造的にはよく似ています。

日本のビジネスに残る「引き算」の感覚

一方、日本のビジネス文化では、あえて多くを語らない・見せないことで、関係性を保つ場面が多く見られます。

  • 名刺交換後は、肩書きをあえて強調しない
  • 会議での発言を抑え、場の空気を読む
  • 服装やオフィス環境を極端に主張しない

ここでは、削ぎ落とすことで場の調和を保つという発想が働いています。 ちょんまげにおける「剃った部分を隠さない」姿勢と同じく、控えめであること自体が信頼につながる場面も少なくありません。

足し算と引き算は「優劣」ではない

重要なのは、どちらが正しい、優れているという話ではないことです。

  • 多様な人が集まる場では、足し算が分かりやすい
  • 関係性を長く育てる場では、引き算が機能しやすい

環境に応じて最適解が変わる点は、白いカツラとちょんまげが生まれた背景と、まったく同じです。

英語で見る「カツラ」と「ちょんまげ」

最後に、歴史や文化の話を英語で説明したいときに使える表現を紹介します。

押さえておきたい単語

  • wig / periwig … カツラ / 貴族のカツラ
  • shave one’s head … 頭を剃る
  • social status … 社会的地位
  • practical solution … 実用的な解決策

そのまま使える例文

The white wig was not just fashion. It was a practical solution. (白いカツラは単なる流行ではなく、実用的な解決策だった)

In Japan, warriors shaved the tops of their heads to reduce heat. (日本では、武士が暑さ対策のために頭頂部を剃っていた)

チャンクで覚える表現

reflect social values … 社会的価値観を反映する

Hairstyles often reflect social values of the time. (髪型は、その時代の価値観を反映することが多い)

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まとめ:奇妙に見えて、実は最適解

西洋と日本の髪型、それぞれの違いを分かりやすく表にまとめました。

項目 西洋:白いカツラ(Periwig) 日本:ちょんまげ(Chonmage)
共通の悩み 衛生面(シラミ)、薄毛、頭の蒸れ 兜(かぶと)の中の蒸れ、熱気
解決方法 地毛を剃り、カツラを足す 頭頂部を剃り、月代を見せる
美学の方向性 「足し算」:盛ることで権威を示す 「引き算」:削ぎ落として潔さを示す
現代への影響 肩書きや役割を「可視化」する文化 空気を読み、調和を重んじる文化
英語表現 “Reflect social status” “Practical and minimalist”

白いカツラも、ちょんまげも、現代の感覚では少し不思議に見えるかもしれません。しかし当時の人々にとっては、シラミや湿気といった切実な問題と向き合うための、非常に合理的な「生存戦略」でした。

そして、その根底にある美学は、現代の私たちの価値観にも形を変えて受け継がれています。

  • 西洋の「足し算」: 自分の役割を明確に示し、外側に価値を積み上げていく力。
  • 日本の「引き算」: 余計なものを削ぎ落とし、内なる潔さや調和を尊ぶ力。

どちらが良い・悪いではなく、環境や目的に応じてこの2つを使い分けることこそが、現代の「最適解」なのかもしれません。

一見、歴史の奇妙な一コマに見えるカツラとちょんまげ。その背景にある文化の違いを英語で語れるようになると、海外の人との会話もさらに奥深いものになるはずです。

What looks strange at first often turns out to be the most reasonable choice in its time.       (一見奇妙に見えるものも、実はその時代における最も合理的な選択だったりするのです)

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