「わかる子は、わかる」
中身は何も説明していません。それなのに、この一文を添えただけのTikTok動画に20万件近い「いいね」がついたこともあります。
英語では「The girl who gets it, gets it」。サンダルに靴下を合わせた写真にも、夜中に食べるシリアルにも、理由は一切語らず、この一行だけが添えられます。訳すだけなら中学英語で足りるのに、使い方しだいでカッコよくも、少し感じ悪くも聞こえる。このフレーズの面白さは、そのさじ加減にあります。
この記事では、フレーズの意味と文の組み立て、広まった経緯、実際の使い方を例文つきで紹介します。
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意味は「わかる人にはわかる」
「The girl who gets it, gets it」は、「この良さがわかる子はわかるし、わからない子には説明しても仕方ない」というニュアンスで使われます。
ここでの get it は「理解する」「ピンとくる」という意味です。英語の口語では「I get it.(わかった)」「Don’t you get it?(まだわからないの?)」のように日常的に使われています。
ポイントは、説明をあえてしないところです。自分のこだわりや好みを見せつつ、「理由は聞かないで。わかる人だけわかればいいから」と軽く線を引く。その少し強気で、どこか茶目っ気のある態度がこのフレーズの持ち味です。
なお、SNSでいちばんよく見かけるのは複数形の「The girls that get it, get it」や「The girls who get it, get it」です。今回取り上げている単数形の「The girl who gets it, gets it」はその変化形で、意味の芯は変わりません。
文の組み立てを見てみる

文の形はシンプルで、前半が主語、後半が述語です。
前半の「The girls that get it」は、関係詞の that(または who)がつくかたまりで「それがわかる子たち」という意味になります。
後半の「get it」がその述語で、「わかる」つなげると「わかる子たちは、わかる」です。
単数形にすると主語が「The girl(その子)」になるので、動詞に三単現の s がついて「The girl who gets it, gets it」になります。前半と後半の両方が gets になる点に注意してください。
もうひとつ気になるのが、途中のカンマです。英語の文法では、主語と述語のあいだにカンマは入れません。それでもこのフレーズでは、ほぼ必ずカンマが打たれています。声に出したときの「わかる子は……わかる」という間をそのまま文字にしたもので、SNSならではの書き方です。
同じ言葉を繰り返して「そういうものだ」と言い切る形は、英語では珍しくありません。
「It is what it is.(仕方ないものは仕方ない)」や「Boys will be boys.(男の子ってそういうもの)」と同じ仲間だと考えると、感覚がつかみやすいと思います。
どこから広まったのか

イギリスの学生向けメディア「The Tab」が2021年12月に出した記事によると、元になったのはTikTokerの Khaenotbae(カエノットベイ) が2021年11月に投稿した動画の音声です。元の動画は削除されているものの、音声だけはアプリ内に残り、そこから多くの人が使うようになったと伝えられています。
元の音声は、言い返しの勢いそのままの乱暴な言葉づかいを含むもので、「わかる子はわかる。わからない子はわからない。わからないのは、あんたが“その子”じゃないから」という内容でした。今のような軽いノリの決め台詞になったのは、この音声がミームとして切り取られ、さまざまな動画に使われるようになってからです。
同じ2021年12月には、90年代風のファッションを紹介する動画にこのフレーズが添えられるなど、ファッション系の投稿で使われる例が出てきます。The Tabの記事でも、TikTokの音源がTwitter(現X)のミームにまで広がった様子が取り上げられています。
その後も勢いは続き、2023年3月には歌手の Ciara(シアラ) が自身の楽曲「Da Girls」にちなんだ #DaGirlsのタグをつけて、このフレーズを使った動画を投稿しました。2024年7月にはKhaenotbae本人が「The girls that get it, get it. ™」と、商標マークの「™」を添えた動画を投稿しています。このマークは「このフレーズは私のものですよ」という冗談めかしたアピールにも見えますが、本人の意図ははっきりしていません。
単数形の「The girl who gets it, gets it」がいつ、誰の投稿から使われ始めたのかは確認できませんでした。現在のSNSでは、単数形と複数形、that 版と who 版が入り混じった状態で使われています。
よく見る形と、似ているけれど違う表現

表の上の3つは、どれも意味はほぼ同じです。複数形の that 版がもっとも多く、who 版もよく見かけます。単数形は「わかる子」を一人に絞った言い方なので、自分自身のことを指して使っても自然です。
4つめの「…, and the girls that don’t, don’t.(わからない子は、わからない)」は、元の音声にもあった後半部分です。ここまで言うと、わからない人を突き放すニュアンスがはっきり出ます。冗談として笑えるかどうかは、相手との関係しだいです。
「If you know, you know.」は、頭文字をとって IYKYK とも書かれる表現で、「知ってる人なら知ってるよね」という意味です。「わかる人にはわかる」という点ではよく似ていますが、girl という言葉を含まないぶん、性別を問わずに使えます。
最後の「Get it, girl!」は、まったく別の表現です。こちらの get it は「理解する」ではなく「やっちゃえ」「その調子」という意味で、友達のダンスや晴れ姿に「いいぞ!」と声をかけるときに使います。見た目が似ているので、取り違えないようにしてください。
実際の使い方と例文
使われる場面でいちばん多いのは、自分のこだわりや、人からは少し不思議に見える習慣を見せる投稿です。服の組み合わせ、ペディキュアの色、食べ物の妙な組み合わせ、休日の過ごし方など、題材はさまざまです。
Socks with sandals? The girls who get it, get it. サンダルに靴下? わかる子にはわかるよね。
Leaving the party at 9 to go home and watch my comfort show. The girl who gets it, gets it. 9時にパーティーを抜けて、家でいつものドラマを観る。わかる子はわかる。
Cereal at midnight hits different. The girls that get it, get it. 夜中に食べるシリアルは格別。わかる子にはわかる。
「hits different」は「なぜか特別においしい・心に響く」という意味のスラングで、このフレーズとよく一緒に使われます。
会話の中で、ツッコまれたときの切り返しとして使うこともできます。
A: Why do you carry three water bottles everywhere? B: The girl who gets it, gets it. A:なんでどこにでも水筒を3本も持っていくの?
B:わかる子にはわかるの。
この使い方は、理由をはぐらかしてちょっとおどけるニュアンスになります。相手が冗談として受け取ってくれる間柄なら会話が弾みますが、真面目に質問している相手に使うと「説明する気がない」と受け取られかねません。
使う前に知っておきたいこと

このフレーズは、もともと内輪のノリから生まれた言葉です。友達どうしの「あるある」や、SNSでの自分語りにはよく合いますが、仕事のメールや初対面の相手とのやり取りには向きません。
もうひとつ、話題によっては意味が二通りに取れる点にも気をつけたいところです。TikTokでは恋愛や性に関する話題の投稿にこのフレーズが添えられている例もあり、文脈によっては性的なほのめかしとして読まれることがあります。「何がわかるのか」をはっきり書かないフレーズなので、投稿する内容との組み合わせには少し注意しておくと安心です。
また、主語が girl(s) なので、基本的には女性どうしの共感を前提にした言葉です。性別を気にせず「わかる人にはわかる」と言いたいときは、先ほど紹介した「If you know, you know.」のほうが使いやすいと思います。
まとめ
「The girl who gets it, gets it」は、「わかる子にはわかる」という意味のSNSフレーズです。もっともよく使われるのは複数形の「The girls that get it, get it」で、The Tabの報道によれば2021年11月にTikTokerのKhaenotbaeが投稿した音声が出どころです。
自分の好きなものや、ちょっと変わったこだわりを説明抜きで見せたいときに添えると、このフレーズらしい雰囲気が出ます。単数形にするときは、gets の s を2か所とも忘れずにつけてください。
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