Beige Flag(ベージュフラッグ)とは?意味・由来・使い方をわかりやすく解説

恋愛について語るとき、英語圏ではRed Flag(危険信号)とGreen Flag(好ましいサイン)という表現がよく使われます。そこに新しく加わったのが、その中間に位置するBeige Flag(ベージュフラッグ)です。

相手を嫌いになるほどではないけれど、思わず「ん?」と首をかしげてしまう、風変わりな小さい癖を指します。

TikTokをきっかけに広まり、今では英語圏の恋愛スラングとして定着しました。

シンガポールのように英語が共通語の環境では、日常会話やSNSでそのまま耳にすることも珍しくありません。

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目次

Beige Flagの意味

beige flagは、恋愛関係において「良くも悪くもないが、少し引っかかる特徴」を表す言葉です。決定的な欠点でも、際立った長所でもありません。相手の言動を見て一瞬「ん?」となり、けれどもそのまま関係を続けられる、その程度の奇妙さを指します。

ベージュという色が選ばれたのは、赤でも緑でもない、地味で中間的な色合いだからです。派手さのない、どっちつかずの語感がこのスラングの核になっています。

具体例としては、次のようなものがよく挙げられます。

  • 目覚まし(アラーム)ではなく、わざわざタイマーをセットして起きる
  • レストランで店員に「何がおすすめ?」と聞いておいて、結局その通りに注文する
  • 冷蔵庫から牛乳を取り出すだけの動作を、いちいち声に出して実況する
  • 特定の単語をずっと間違った発音で覚えている

いずれも、関係を壊すような問題ではありません。むしろ、付き合っていくうちに愛おしく思えてくる類いの癖です。ケンブリッジ辞典は2023年10月にこの語を新語として収録し、「付き合い始めた相手が少し変わっている、あるいは退屈だと感じさせるが、別れるほどではないサイン」と定義しています。

言葉の由来:TikTokから生まれた恋愛スラング

beige flagが登場したのは2022年5月です。マッチングアプリのプロフィールに見られる「つまらなさ」を面白おかしく指摘するTikTok動画で使われたのが最初とされています。

興味深いのは、この言葉の意味が短期間で変化した点です。登場当初のbeige flagは、「その人が退屈でつまらない人間であることを示すサイン」という、ややネガティブな意味で使われていました。パイナップルをピザに乗せるかどうかで議論する、エクセルの話をする、といった「ありふれた特徴」を揶揄する文脈です。

ところが2023年前半になると、意味合いが「退屈」から「風変わりだが憎めない癖」へと移り変わります。この時期、TikTokでは落ち着いたジャズを背景に、パートナーの奇妙な癖を紹介する動画が世界的に流行しました。関連ハッシュタグの再生回数は数億回規模にのぼり、beige flagは一気に浸透していきました。

「Red」「Green」「Yellow」との違い

beige flagを理解するには、ほかのフラッグ表現との位置関係を押さえておくと分かりやすくなります。

そもそもred flag(危険信号)という表現は歴史が古く、英語では16世紀末から使われていました。もとは戦闘準備を示す船の旗で、18世紀半ばには「警告」全般を指す言葉になっています。一方のgreen flagは自動車レースの「スタート・再開の合図(緑は進め)」に由来し、恋愛の文脈で「好ましいサイン」として使われるようになったのは比較的最近のことです。

この2つに、注意を促すyellow flag(黄色信号)と、中間のbeige flagが加わり、次のような色のグラデーションができあがりました。

それぞれの違いを表にまとめます。

フラッグ色のイメージ意味関係への影響
Red Flag危険・警告別れを考えるべき問題行動(音信不通、他人への横柄な態度など)大きい
Yellow Flag注意決定打ではないが、慎重に見極めたい要素中程度
Beige Flag中間・地味良くも悪くもない、思わず「ん?」となる風変わりな癖ほぼなし
Green Flag好ましい誠実さや思いやりなど、関係を続けたくなる長所プラス

レッドとグリーンが「別れるか、続けるか」という判断そのものに関わるのに対し、ベージュはその判断を左右しません。あくまで、関係の余白にある小さな個性を面白がるための言葉です。

使い方と例文

beige flagは、SNSや会話の中で「〜の beige flag は…」という形で使われることがほとんどです。恋人だけでなく、友人や家族、さらにはペットの癖について語る場面にも広がっています。

例文をいくつか挙げます。

My boyfriend’s beige flag is that he sets a timer instead of an alarm.

(彼氏のベージュフラッグは、アラームじゃなくてタイマーで起きるところ)

Her beige flag is calling every movie remake “the remix edition.”

(彼女のベージュフラッグは、リメイク映画をぜんぶ「リミックス版」って呼ぶところ)

どちらも、批判ではなく、むしろ微笑ましさをこめて相手の癖を紹介する言い方です。「そこがちょっと変だけど、そこがいい」という温度感で使われる点が、red flagとの決定的な違いといえます。

日本の「フラグ」文化との比較

日本語にも「フラグ」という言葉があります。ただし、英語のflagとは成り立ちが大きく異なります。

日本の「フラグ」は、もともとコンピュータ用語で「特定の条件が満たされたことを示す目印」を意味していました。それがアドベンチャーゲームやノベルゲームの世界で、「ある行動をとると後の展開が変わる引き金」を指す言葉として使われるようになり、「恋愛フラグ」「別れのフラグ」といった表現が生まれました。

つまり、英語のflagは「今その人が発している警告・好意のサイン」であるのに対し、日本語の「フラグ」は「この先の展開を予告する伏線」です。前者は現在の観察、後者は未来への予告、という向きの違いがあります。同じ「旗」でも、指しているものがずれているわけです。

では、beige flagに近い日本語はあるでしょうか。恋愛における警告サインという意味では、「地雷(じらい)」がred flagにかなり近い立ち位置にあります。

一方で、beige flagが持つ「良くも悪くもない、憎めない奇妙さ」を一語で言い当てる定番表現は、まだ根づいていません。

強いて挙げるなら、相手の風変わりな一面を指す「クセ」や、あえて欠点を愛おしむ「そこがいい」という言い回しが、感覚としては最も近いといえます。beige flagは、こうした「愛すべき欠点」へのまなざしに、共通の呼び名がついたものだと考えると分かりやすくなります。

シンガポールでの使われ方

日本では英語のスラングとして「輸入」されるbeige flagですが、英語が共通語のシンガポールでは事情が違います。翻訳を挟まず、生の英語のまま日常に溶け込んでいるのが特徴です。「That’s such a beige flag(それ、めっちゃベージュフラッグだね)」といった言い回しが、友人同士の会話でそのまま交わされます。

現地で身近な入口になっているのが、Netflixの恋愛リアリティ番組・脱出おひとり島(Single’s Inferno)です。シンガポールのメディアでは、出演者の言動をred / green / beige flagになぞらえて読み解く記事がたびたび組まれています。番組を見ながら相手の言動を「これは微妙にベージュだね」と語り合う、そんな楽しみ方が広がっています。

一方で、シンガポールの会話にはSinglish(シングリッシュ)と呼ばれる独特の恋愛語彙も使われています。福建語や広東語、マレー語が英語に混ざり合ったもので、代表的なものを挙げると次のとおりです。

Singlish表現主な由来意味
chio bu(チオブー)福建語美人・魅力的な女性
yandao(ヤンダオ)広東語ハンサムな男性
pak tor(パクトー)広東語(拍拖)デートする・交際する
steady(ステディ)英語正式に付き合う/「いいね、OK」の相づち
buay tahan(ブアイ・タハン)福建語+マレー語我慢できない(red flagへの反応に近い)

ただ、こうした豊かな語彙がありながら、beige flagにあたるSinglishはとくに生まれていません。日本語がbeige flagを「地雷」や「クセ」といった既存の言葉と照らし合わせるのに対し、シンガポールでは英語をそのまま使います。同じ言葉でも、受け止め方は土地の言語事情によって変わってきます。

まとめ

beige flagは、赤(危険)でも緑(好ましい)でもない、中間の「風変わりだが無害な癖」を指す恋愛スラングです。2022年にTikTokで「退屈さのサイン」として登場し、2023年に「憎めない奇妙さ」へと意味を変えながら世界に広まりました。

同じ言葉でも、土地によって受け止め方は変わります。日本では英語のスラングとして取り込まれ、「地雷」や「クセ」といった手持ちの言葉と照らし合わされます。英語が共通語のシンガポールでは、翻訳されることなく生の英語のまま会話に登場します。相手の「ん?」となる一面は、責める対象でも見過ごす対象でもなく、少し面白がるくらいがちょうどよいのかもしれません。beige flagは、そんな距離のとり方を表す言葉だといえます。

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