恥ずかしい過去の出来事を、日本語では「黒歴史」と言う。
でも英語圏では同じ体験を「Canon Event」と呼ぶことが多い。たった一言の違いですが、その言葉に込められたニュアンスはかなり異なります。
TikTokやXのタイムラインで「これはcanon eventだから仕方ない」と言われたりしています。
ゲームやマンガに詳しい人なら「canon(カノン)=公式設定」という言葉は馴染みがあるのかもしれません。
でも2023年以降、この言葉はまったく新しいニュアンスを持って英語圏SNSに広がっています。
この記事では、Canon Event の意味・語源・SNSでの使われ方、そして日本語での自然な言い換えまで、まるごと解説します。
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Canon Event の意味
Canon Event(キャノンイベント)とは、「その人のアイデンティティや人生を形成するために、どうしても起こらなければならない出来事」のことです。
英語のニュアンスを表現するなら
「避けようとしても無駄。それが起きることで、今の自分がある。」
痛い経験も、恥ずかしい思い出も、人生の転換点も。それは「なかったことにできない」必然の出来事。それがキャノンイベントです。
語源:「Canon」という言葉はどこから来た?
① 宗教用語としての「Canon」
もともと「canon」は宗教用語で、「教会が定めた規則・正典」を意味するラテン語・ギリシャ語由来の言葉です。
これがアニメ・マンガ・ゲームのファンコミュニティに転用され、「公式設定として認められた出来事・キャラクター・ストーリーライン」を指す言葉になりました。
「そのカップルはcanon」「あのエピソードはnon-canonだから本筋じゃない」英語圏のオタクカルチャーでは日常的に使われる表現です。
② 「Canon Event」がトレンドになったきっかけ
2023年6月公開の映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が決定的なきっかけでした。
作中でスパイダーマンたちは「キャノンイベント」という概念を語ります。どのパラレルワールドのスパイダーマンも、必ず同じ苦しい出来事を経験することで英雄になる。アンクル・ベンの死。愛する人を守れなかった後悔。それらはどの宇宙でも起きる「避けられない必然」として描かれました。
この場面が公開直後からTikTokでバズり、
「I can’t interfere, it’s a canon event.(干渉できない、これはキャノンイベントだから)」というフレーズがミームになりました。
SNSトレンドとしての広がり方
TikTokでの使われ方
映画公開後、TikTokユーザーたちは自分の「キャノンイベント」を語り始めました。動画フォーマットはシンプルです。
- 映画のサウンドトラックをBGMに流す
- カメラに向かってきまずそうな表情を見せる
- テキストで「(恥ずかしい体験)← これがキャノンイベント」と表示する
中学時代のファッションの黒歴史、初めての恋愛の失敗、ステージ上でのド緊張……そんな「誰もが共感できる青春のトホホ体験」が次々と共有されていきました。
私のcanon event…人生初めてのゴルフ場で
初ラウンドの第一打、渾身の空振り。止めようとしても無駄だった。あれは私のcanon event…今の自分をつくった、避けられない一打だったのだ。 そんな私も今ではマスターズに……出場できる気が1ミリもない。

2024〜2025年の使われ方の広がり
2024年には「October Canon Event(10月のキャノンイベント)」という派生トレンドも生まれました。10月は特に失恋や別れが集中しやすいという観察から、秋の感傷的な出来事全般を指す表現として使われるようになっています。
Merriam-Webster(英語の権威ある辞書)も2024年にスラングとして掲載するほど、この言葉はポップカルチャーに完全に定着しています。
日常会話での使い方:3つのニュアンス
Canon Event には大きく3つの使い方があります。
| ニュアンス | 英語例 | 日本語訳・解説 |
|---|---|---|
| ① 恥ずかしい体験の共有 | My emo phase was a canon event. I had to go through it. | 中二病みたいな時期は必然だった。今の自分を作った |
| ② 他人の行動を見守る | I can’t interfere, it’s their canon event. | 止めたいけど言えない。あれはあの子のキャノンイベントだから |
| ③ 人生の転機の肯定 | Getting rejected from that job was a canon event for me. | あの不採用がなければ今の仕事に出会えなかった |
日本語ではどう言う?
「キャノンイベント」にピタリと対応する日本語はありませんが、近いニュアンスの表現はいくつかあります。
| 英語 | 日本語の近い表現 |
|---|---|
| Canon event | その出来事があったから今の自分がある / 通過儀礼 |
| It’s a canon event | それは仕方ない、あれは必要な試練だった |
| My canon event | 自分の人生の分岐点 / 黒歴史(でも必要だった) |
| Can’t interfere | 止めたいけど、あれはあの子の試練だから |
日本語の「通過儀礼」や「人生の分岐点」は近いですが、キャノンイベントのおもしろいところは笑いとまじめさが共存している点です。恥ずかしい黒歴史を笑いながら「でもこれが自分を作ったんだ」と肯定するユーモア…それがこの言葉の核心です。
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なぜこの言葉がこれほど流行ったのか
Canon Event が特別な広がりを見せた理由は、「自己受容」と「共感」の両方をシンプルに表現できるからだと分析されています。
共感の言語化:「誰でも一度は通る道」という感覚をひとつの言葉で共有できる。
痛みの再解釈:失敗や恥ずかしい体験を「なかったことにしたい過去」ではなく「必要だった出来事」に変換できる。
映画の影響力:スパイダーマンという世界的IPが感情的な土台を作り、言葉の意味に重みを持たせた。
「自分はダメだった」ではなく「あれはキャノンイベントだった」と言い換えるだけで、過去の経験を成長の一部として受け入れる。同じ経験がまったく違って見えてくる。その言葉の力が、これほど多くの人に刺さった理由だと思います。
まとめ
Canon Eventを整理すると、こうなります。
- 意味:人生・アイデンティティを形成するために「起こる必要があった出来事」
- 語源:ファンダムの「公式設定」→ 2023年スパイダーマン映画 → TikTokミーム
- 使い方:恥ずかしい過去・人生の転機・他人の試練を「必然だった」と肯定するときに使う
- 日本語感覚:「通過儀礼」「人生の分岐点」「黒歴史(でも必要だった)」に近い
英語圏のZ世代がSNSで感情や体験を表現するとき、映画・ゲーム・マンガのメタファーを使うのは今や当たり前のことです。Canon Event はその最もうまくいった例のひとつ。あなたにとっての「キャノンイベント」はなんですか?
“We don’t get to skip our canon events. They’re the chapters that make the story worth telling.”























